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53歳からの大学院(MBA→MOT)へのチャレンジ vol.2

今回は、役職定年をきっかけとした本科生へのチャンレンジについて、当時何を考え、どのような行動をしたか?反省点を含めて私自身の経験を振り返りながらお伝えすることで、これからMBAを目指す方にとって少しでも有意義な情報になれば幸いです。
まず、私は役職定年をきっかけに大きな決断をしています。それは、役職定年制度導入とともに設定された早期退職パッケージを得ることでした。具体的には、わずかな割増退職金の他、在籍期間中にビジネススクール等の費用を会社に一部負担いただくものでした。この決断とともに53歳からの転職先探しも並行して始まるわけですが、転職先探しの苦労話は別の機会に触れたいと思います。
それでは今回は、学校選びから入学試験までの準備のお話となります。

1.私の学校選び
まず最初に必要なことは学校選びですよね?一般的に大学では何を学びたいか?ですが、大学院の世界では何を研究したいか?になると思います。そのため研究計画書を志願時に提出を求めらていますので、ご自身の研究にマッチした学校選びが必要ですね。しかし、私の学校選びは少し違いました。

1.通学しやすいか
私が最も重要視したのは、いかに通学しやすいか?でした。2年間という短くもあり長い期間、仕事・学び・家庭の3つをバランスよくこなすためには、移動時間を最小限にする必要がありました。
ほとんどのビジネススクールにおいて、平日授業の始業は19時前後かと思います。そこで、当時の職場(丸の内)から30分以内であることを条件にした結果、志望校は明治と法政に必然的に絞られました。なお、2023年には中央大学がお茶の水に移転しましたので、今では候補に入りますね。
また、土曜朝イチの授業は9時開始でしたので、疲れがたまる土曜日の通学は結構大変でした(自宅が横浜でしたので。)。

2.どのような生徒がいるのか
やはり、どのような学生がいるのか?とても気になりますよね。私はすでに50歳を超えていましたので、生徒の年齢構成が大変気になりました。各ビジネススクールが発行する冊子で年齢構成も掲載されているかと思います、気になる方は是非確認してみてください。
私が通学した明治、東京理科大は、30代、40代が多いものの、50代の生徒も複数お見えでした。ビジネススクールでは、年齢、社会人経験も多様であること。社会人経験が深く、示唆に富んだ議論ができる生徒はとても貴重なのではないでしょうか。
なお、明治の場合、留学生比率が高いこと。また、東京理科大は理系ということもあり、男性比率が高いことも特徴です。
いっぽう、通学してみてわかったことですが、「同期は同期」、年齢は全く関係なく交流できますので、私みたいに年齢を気にせず、50歳、60歳代の方も是非チャレンジしてみてください。

3.学校の雰囲気を知る
次に、学校の雰囲気はとても重要ですね。やはり、学生に戻るわけですから、そのキャンパスライフを存分に楽しみたいと考え、学食などもよく利用しました。
そこでオススメなのが、オープンキャンパス、入試説明会、公開講義などへの参加です。
ちなみに、下の画像は明治ビジネススクールのホームページから引用したものですが、実はこの風景は2018年12月のもので、一番左に小さく映っているピンクのシャツは私です(笑)!

2.お金(授業料他)
ビジネススクールの費用はとても高額です。私立の場合、入学金の他、2年間の授業料を含めると総額300万円を超えるのは当たり前かと思います。
授業料等については詳しく触れませんので各ビジネススクールのホームページでご確認ください。
ここでは、厚生労働省による専門実践教育給付金、大学の奨学金、そして隠し技の3つに触れたいと思います。

1.専門実践教育訓練給付金
ほとんどのビジネススクールでは、厚生労働省の教育訓練給付制度の指定を受けていますので是非活用してください。
一般的に勤め先は雇用保険に入っていますので就業中の方は何も問題ありませんが、失業している場合でも一定の条件を満たせば資格があるそうです。
詳しくは以下のURLでご確認してください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html

2.大学の奨学金
また、明治大学の場合、成績優秀者に対して年額65万円の奨学金が給付される制度があります。これは、入学試験の結果を基準に選抜されますが、たしか、出願時に選抜希望有無を聞かれたと記憶しています。
ちなみに、最初から私はあきらめていましたので「希望しない」を選択しました。後で知りましたが、仲の良い同期は結構選抜されていたようです。
また、明治大学では在学生対象に成績優秀者に対して奨学金を給付する制度があります。私は運よく選抜され、50万円の給付いただきました(ありがとうございます!)。
ちなみに、この制度は毎年あるものではなく、選抜方法、基準、給付額などは明らかにされていません。
https://www.meiji.ac.jp/mbs/tuition/scholarship.html

3.隠し技
ここでは、隠し技を2つご紹介いたします。あくまでの私の場合ですので、読者の皆様が当てはまるわけではありません、ご注意ください。

①確定申告による所得税の還付(特定支出控除)
所得税をたくさん収めている方は、確定申告により所得税が還付される場合があります。実はこの方法、仲の良い税理士でも知らず、税務署の職員もなかなか無いケースとおっしゃっていました。
一言で表すと、この制度はサラリーマン(給与所得者)が個人負担分の研修費を控除対象として認めてもらう制度になります。
具体的な手続きは非常に簡単で、所定のA4書式(1枚)に必要事項を記載し、会社に署名・捺印をいただくだけ。あとは税務署の定めた書類とともに確定申告書とあわせて税務署へ提出するのみとなります。
会社にはビジネススクールに通学していることを知られるわけですが、会社から1円の支援がないにも関わらず自費負担で学びを実践していること。さらに、この学びを業務に活かせることをしっかり説明すれば、会社には断る理由がないですよね。

給与所得者の特定支出控除とは?サラリーマン・会社員必見! | クラウド会計ソフト マネーフォワードサラリーマンであっても経費が控除される、特定支出控除という制度があります。その控除の範囲や条件が平成24年度に改正され、使biz.moneyforward.com
なお、この制度があることは、私の2つ目のビジネススクール(東京理科大学)の台湾人の同期から教えていただきました。いかに負担を減らすか、彼は隅々まで調べ上げていたわけですよね。本当に頭が下がります。

②学割・生協の利用
ビジネススクール本科生はれっきとした学生です。つまり、学生証が発行されて学割サービスを受けられることができます。
よって、通勤定期も通学定期となり通勤定期の半額で購入できます。また、大学生協の会員に加入すればさまざまな特典を得ることができます。
なお、通勤定期を通学定期として利用する場合、会社の人事に事前確認してください。後で知られ”半分を返還せよ”となるとバツが悪いですよね。
また、私の場合、Amazon、カラオケなど、学生証が利用できるものは徹底して利用しました。ちなみに携帯電話は年齢制限があるため53歳のオヤジには適用外でした!!

まとめですが、高額な授業料も様々な制度をうまく活用することで自己負担を大きく減らすことができます。
私の場合、明治ビジネススクールでは、総額費用330万円位のうち、前職の退職パッケージ、職業訓練給付金、大学からの奨学金により、自己負担額は約50万円かと思います。
いっぽう、東京理科大学では、当時は職業訓練給付制度がないため、総額300万円位のうち、特定支出控除で約30万円くいらい戻ったものの、自己負担額は約270万円くらいになりました。
今は東京理科大学も職業訓練給付制度の指定講座になっていますので、東京理科大学を目指している方も安心してください。

3.入学試験までの準備
学校選び、お金のお話はいかがでしたでしょうか?
さて、これからは最も重要な入学試験までの準備について、私の経験してきたことをお話したいと思います。
皆さんもご存じのとおり、国内MBAは、国立大学(一橋、筑波、横浜国大)と、私立大学(早稲田、慶応、明治、青山学院、中央)などがありますよね。
入学試験も様々で、書類審査(研究計画書)の他、1次試験として小論文や英語試験がある学校もあります。
参考までに、以下のURLは早稲田大学と横浜国立大学の過去問題(小論文)です。皆さんいかがですか?
この問題をすらすら解答できれば、ビジネススクールでの学びはもはや必要ない!と思うくらいです。しかし、言い換えると、両校に求める入学資格者にはこの程度の知識が必要だという事と捉えることもできますよね。
人気校の本科生は恐るべしですね!

・早稲田大学(WBS)

https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2023/02/35_P_2023_ippanhakenshokei_autumn_shoronbun.pdf

・横浜国立大学(YBS)
https://www.b.ynu.ac.jp/admission/past-exam-paper/bw221p.pdf

1.予備校か自己学習か
入学試験において1次試験がない学校は、書類審査(研究計画書)と口頭試問(面接試験)の2本立てとなり、明治、東京理科大学もこの部類に入ります。
そこで、事前準備(学習)のため、予備校に通学するか自己学習か、迷いますよね。
一般的にMBAの予備校として河合塾やアルガートなどがありますが、結構高額ですし予備校とビジネススクールの授業料を入れると総額400万円を超えてしまうかと思います。
ちなみに、同期でも予備校へ通学していた方は結構いたかと思います。

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私の場合、費用面などの制約があり自己学習を選択し、ネットからの情報収集、参考図書をもとに準備することとしました。
また、明治大学の公開講座へ参加した際、会社の同僚に偶然出会い、そこからは彼と頻繁にランチミーティングを行い、良き相談相手になってくれたことが私にとってラッキーでした。
卒業生、現役本科生の中に知り合いがいれば、彼らから情報を収集してみてください。

2.研究計画書の書き方
研究計画書の書き方をテーマとした書籍を本屋で探し回りましたが特殊なため?見つかりません。
そこで、Amazonで探して購入した1冊(一番左)と同僚から頂いた2冊の計3冊で私の研究計画書の執筆が始まりました。
画像でご紹介しますので、よろしかったら参考にしてみてください。

娘のピアノの上で筆者撮影
なお、研究計画書に求められてる項目は、大学の募集要項、出願書類などに記載されています。
以下は明治ビジネススクールのものですが、確認すると以下の二つを記載する必要がありますね。これは私の願書提出時から変更がないようです。

①職務経験や社会的活動から生じた問題意識や課題について
②本研究科での学習計画と研究テーマ

出所:明治ビジネススクール ホームページより
なお、研究テーマのことを「リサーチ・クエスチョン」と言いますが、大学院ではこの「リサーチ・クエスチョン」の設定が大変です。
また、入学前と入学後(修士論文作成)での変更はよくあることですので、ご自身にとって、今一番研究したいテーマを設定してみてください。
本当にお恥ずかしい限りですが、私の明治での当初の研究テーマは、
「ヒトとテクノロジーを融合した新たな社会インフラの創出」でした。なにやら壮大過ぎて、何をやりたいのかまったく意味不明ですね。

■入学前(研究計画書)

筆者のMBS出願時の研究計画書より抜粋
■入学後(修士論文時)

筆者の修士論文の表紙より抜粋
今思うと、入学後(修士論文時)のテーマもこちらもイマイチですが、大きく変更になっていることがわかります。
つまり、論文を書いたことがない学生は、リサーチ・クエスチョン(研究テーマ)の設定が広くなりすぎ、いつも「指導教員から何をしたいの?」を言われる始末です。
そこは、入学後に必ずご指導いただけますのでご安心ください。

次回について
明治大学を中心に当日の受験の状況、東京理科大との比較なども面白いのでそのお話をしたいと思いますが、その前に、テーマを変え「シニアの起業」のお話しをしたいと思います。
記憶も新しいので非常に生々しいお話しができますので、是非ご期待ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!!

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